日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: W2-3
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ワークショップ2. 個体および幹細胞集団へのマイクロビーム局所照射による生物影響研究
ゼブラフィッシュ胚を用いたin vivo放射線影響研究のためのマイクロビーム照射法の確立
*小西 輝昭蔡 詠恩余 君岳及川 将一磯野 真由酢屋 徳啓
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抄録
放医研マイクロビーム細胞照射装置SPICEは、タンデム型静電加速器を用いてプロトンを3.4MeVまで加速し、90°偏向磁石を用いて垂直方向(細胞底面から細胞上部)に照射できることから、通常の細胞培養と同様の状態で照射実験を行える。そして、三連四重極電磁石(Qマグネット)を用いた収束方式であるためエネルギーの均一な線質の奇麗なマイクロビーム用いることができる。現在の性能は、ビームサイズは2μm程度であり、さらにプロトンを1個からほぼ100%の精度で照射粒子数の制御が可能である。さらに、一分間におよそ400個の細胞の狙い撃ちが可能な高速性も持ち合わせている。このようにSPICEは、哺乳類培養細胞をターゲットとして設計・開発された。このSPICEで得られるプロトンマイクロビームをin vivo 研究へも応用するために、ゼブラフィッシュ胚を試料として開発を開始した。具体的には、試料観察系、粒子数制御システム及び試料設置方法等について開発を進め、ゼブラフィッシュ胚の細胞核に照射を実現した。次に、このSPICEを用いて放射線適応応答に関する研究を開始した。まず一回目の照射にSPICEを用い、受精後5時間後(5 hpf)のゼブラフィッシュ胚の細胞へ照射をし、培養器(28℃)もどし、10hpf胚になったところで硬X線を2Gy照射した。その後、24hpf胚におけるアポトーシス誘発細胞数を計数することで、放射線適応応答を評価した。数100個のプロトン照射によって、ゼブラフィッシュ胚は放射線に適応することを確認した。
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© 2011 日本放射線影響学会
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