日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: OA-3-2
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A: DNA損傷・修復
Nbs1とKu70の二重欠損細胞におけるDNA損傷への応答
*大原 麻希阿部 紘子田中 彩井坂 早央里戸松 静香田内 広
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キーワード: DNA修復, Nbs1, 相同組換え
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抄録
放射線照射により生じるDNA二重鎖切断(DSB)は細胞にとって最も重篤なDNA損傷であり、うまく修復されなかった場合には突然変異や細胞死を誘発し、がん化の原因にもなる。DSB修復には複数の修復経路が報告されているが、相同組換え(HR)修復と非相同末端結合(NHEJ)が主要な経路と考えられている。 本研究では、HRとNHEJの両経路が欠損した細胞の放射線誘発DNA損傷応答を明らかにするため、HR修復に関与するNbs1とNHEJに関与するKu70のダブルノックアウト細胞を樹立してその表現型を解析した。 Nbs1/Ku70ダブルノックアウト細胞はシングルノックアウト細胞と比べて増殖が遅く放射線に非常に高感受性であり、DSBの再結合も著しく遅かった。一方で、ダブルノックアウト細胞でも放射線照射によるDSBの50%近くが再結合されたことから、主要とされてきたHRとNHEJ以外の経路がDSB再結合に寄与する割合も大きいことが強く示唆された。また、Nbs1/Ku70ダブルノックアウト細胞はDNA損傷剤であるカンプトテシンにも高感受性であり、同様のHRとNHEJ欠損であるRad54/Ku70ダブルノックアウト細胞と比べて感受性が高かった。以上のことから、典型的なHRとNHEJ以外のDNA損傷修復経路にNbs1が関与すると考えられる。
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© 2011 日本放射線影響学会
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