抄録
現在,唄者は沖縄民謡の担い手として,テレビ,ラジオ,レコードなどのメディアやフェスティバルやイベントなどの出演,民謡酒場での演奏など多岐にわたる活動をし,人々から高い支持を得ている。しかし,唄者の歴史を沖縄戦前後まで遡ると,現在の唄者のイメージや役割と大きく異なり,世間一般的に高い評価を得るような存在ではなかった。唄者のイメージは時代を下ることにプラスになり,それに伴い唄者の役割も変化していった。
本論文では,1945年から2000年代における民謡クラブと民謡酒場の専属唄者の活動を通して,第一に唄者に対するイメージの変化,第二に唄者の役割の変化を明らかにすることを目的としている。