抄録
1990年代までは表面分析装置で取得されたスペクトルデータは,ほとんど全てが分析装置に取り付けられているコンピューターによって処理されており、そのデータ構造は分析装置ごとに異なっていた。したがって,データを共有することは不可能であった。しかし,スペクトルデータの情報は共通の構造で蓄積されて,広く利用されるべきであるということが認識された。ISO TC201ではこの要請に基づいて,データ構造の記述方法に関するISO 14976 Data transfer format, ISO14975 Information formats, ISO 22048 Information format for static secondary-ion mass spectrometryを発行した。ここでは,これらの規格の発行の経緯,規格の概要と利用方法について解説し,データ構造の将来について言及する。