抄録
Opernado軟X線XAFS測定によりLiNi⅓Co⅓Mn⅓O2正極の初期充電過程における電荷補償機構が研究された.蛍光収量にて検出された軟X線XAFSスペクトルより,LiNi⅓Co⅓Mn⅓O2を構成する元素の価数はそれぞれNi2+,Co3+,Mn4+,O2-である.初期充電過程において,Ni2+はNi4+へと酸化し,Mn4+は変化が見られなかった.O2-はO K吸収端XAFSスペクトルに新規プリエッジピークが出現することから,O 2pから電子が脱離してホールが生成することで酸化する.Co3+はoperando Co L3吸収端XAFSスペクトルにおいて充電初期から高エネルギー側へエネルギーシフトすることが観測された.LiNi⅓Co⅓Mn⅓O2電極の初期充電過程においてNiイオンが主に電荷補償を担い,Mnイオンは寄与しない.また,Oイオン,Coイオンもわずかではあるが電荷補償に寄与することが明らかとなった.