抄録
メッシュ・レプリカ法は,オージェ電子分光法およびX線光電子分光法において,イオンスパッタリング速度を決定するための手法の一つであり,ISO/TR 22335にはその実施における推奨事項等が記載されている.スパッタリング速度を実測する上で有用な手法であるが,その報告例は多くない.本報告では,ISO/TR 22335のメッシュ・レプリカ法について解説し,そのトレース試験結果および実用上の注意点を報告する.トレース試験では,メッシュ・レプリカ法を用いてシリコン基板のAr+イオンスパッタリングを実施し,触針式段差計によりスパッタリング痕の深さを計測した.このスパッタリング深さは,シリコン熱酸化膜を用いたAr+イオンスパッタリング深さ方向分析結果と同程度の値であった.新たにTEM用単孔グリッドを用いたメッシュ・レプリカ法について検討した.その結果,単孔グリッドにより得られたスパッタリング痕形状はイオン照射方位や段差計の走査方向の考慮が不要な形状であった.