抄録
当社主力製品群の一つは, 様々な機能を有するテープやフィルムである. そのため, 被着体と接する面の特性を把握することは重要である. そのため, 当社では, TOF-SIMSなどの表面分析の技術強化を行っている. TOF-SIMSでは, 得られるスペクトルが非常に複雑であり, そのようなデータを効率的に解析することが課題の一つである. 本発表では, 主成分分析(PCA), 多変量スペクトル分解(MCR), オートエンコーダー(AE) [青柳里果, 表面と真空 65, 4 (2022)]を, ①塗膜表面の凸状油分の分析, 及び ②粘着テープ剥離後の糊残り成分の分析の, 各取り組みの中で取得したTOF-SIMSデータに対し適用した結果を報告する.
検討の結果, いずれの解析法も各成分の特徴を抽出し, 分子構造を推定するに至った.