Journal of Surface Analysis
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技術報告
実験室系HAXPESによるAgとCuの化学状態分析
西田 真輔 大友 晋哉
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2024 年 31 巻 2 号 p. 155-

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抄録
従来のMg Kα線およびAlKα線を用いたXPSに比べて,バルク敏感な化学状態分析を非破壊で行うために,単色化Cr Kα線および単色化Ga Kα線が装着された実験室系HAXPESの検討を行っている.AgとCuに関しては,Ag 3d5/2およびCu 2p3/2光電子ピークのケミカルシフトが比較的小さいため,非弾性平均自由行程 (IMFP) の大きなAg L3M4,5M4,5およびCu KL2,3L2,3オージェ電子を用いたバルク敏感な化学状態分析を検討している.本報告では,13種類のAg元素を含む試料(Ag,Ag0.09P0.1Cu0.81, Ag0.6Cu0.4, Ag2O, Ag2O2, Ag2S, AgI, AgBr, AgCl, AgF, Ag2CO3, AgNO3, and Ag2SO4)を用いて単色化Cr Kα線励起によるAg 3d5/2 − Ag L3M4,5M4,5およびAg 2p3/2 − Ag L3M4,5M4,5の修正オージェパラメーターならびに5種類のCu元素を含む試料(Cu,Cu0.6Zn0.4,Cu2O,CuBr,CuO)を用いて単色化Ga Kα線励起によるCu 2p3/2 − Cu KL2,3L2,3の修正オージェパラメーターを測定し,これらのワグナープロットを作成した.また,本検討結果を溶解・凝固した銀ろう(Ag0.6Cu0.4)表面に形成される酸化層の化学状態分析に適用し,有効な手法であることが確認された.
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© 2024 一般社団法人 表面分析研究会
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