不安症研究
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原著
教員が生徒の不安・抑うつ症状に気づく力を調査した研究の系統的レビュー
山口 智史西田 明日香小川 佐代子東郷 史治佐々木 司
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2018 年 10 巻 1 号 p. 45-53

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抄録

精神疾患の発症は思春期に急増する。精神不調を抱える若者は援助を求めにくく,周りの大人がそれに気づき適切に援助する必要がある。若者は多くの時間を学校で過ごすため,教員はこの役割を担うのに適した立場にある。本研究は,教員が生徒の精神不調,特に不安・抑うつ症状に気づく力をどれ位有するかを明らかにすることを目的に,生徒の不安・抑うつ症状についての生徒本人と教員による報告の一致率を調べた研究の系統的レビューを行った。PubMed, ERIC, CINAHL, PsycInfo, Web of Science, CiNii, 医中誌で検索しヒットした13,442件のうち,上記一致率を調べた8件の論文を検討した。教員は抑うつ症状のある生徒の38~75%に気づいたのに対し,不安症状のある生徒への気づきは19%と41%であった。教員研修では不安症状についてもきちんと教育する必要があると考えられる。

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© 2018 日本不安症学会
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