抄録
本研究の目的は,社交不安障害(以下,SAD)患者の拒絶に対する過敏性がうつ症状およびSAD症状に与える影響について明らかにすることであった。SAD患者81名を対象に拒絶に対する過敏性,うつ症状,SAD症状を測定する質問紙調査を実施した。分析の結果,拒絶に対する過敏性はうつ症状を介してSAD症状と関連していることが示唆された。また,拒絶に対する過敏性の中でも,「社会的自己像と真の自己像の不一致」と「他者評価追従」が特にうつ症状との関連が強いことが明らかとなった。本研究の結果から,SADの経過における拒絶過敏性やうつ症状とSAD症状の関連について考察するとともに,拒絶に対する過敏性に焦点を当てたアプローチの可能性について考察した。