抄録
燃料電池車普及に向けて,燃料電池の長寿命化が課題である.触媒として数ナノメートルの白金の微粒子を用いている.白金は希少な元素で高価なため,使用量を削減していく必要がある.使用量が多い要因の一つに耐久劣化がある.燃料電池作動中に白金微粒子の劣化が起こり,電池の出力が低下する.このため劣化機構を解明し,対策を打つ必要がある.我々は透過型電子顕微鏡を用いて,燃料電池の反応を模擬した液中かつ電位印加環境を作り,白金微粒子の劣化をリアルタイムで直接観察する手法の開発に取り組んだ.これにより,耐久劣化を抑制できる材料開発,設計,および劣化しない触媒の使われ方の提言を行うことができる.