2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 21-27
株式市場においては、景気循環の局面に応じて、物色される銘柄群に違いが出ると言われている。本研究では、株式市場の構成銘柄について、長期的なリターンの相関係数行列から作成したグラフと、短期的なリターンの関係性を分析して、景気循環と市場の物色傾向の関係性を分析した。長期のリターンの相関係数行列から関係性の強い銘柄同士をクラスタリングして、クラスタ上で短期間の売り買い物色に偏りが発生するかを、Graph Based Entropy と領域間相互作用の手法を用いて分析して、物色が偏る期間の特性について分析した。TOPIX 500、S&P 500、STOXX Europe 600 の 3 つの株式インデックスに対して検証を行ったところ、物色の偏りが景気循環に対する予測力を持つ可能性を示唆する結果となった。