JSAI Technical Report, Type 2 SIG
Online ISSN : 2436-5556
Volume 2023, Issue FIN-032
The 32nd SIG-FIN
Displaying 1-20 of 20 articles from this issue
The 32nd SIG-FIN
  • Wakatuki TAIKI, Kanazawa KIYOSHI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 01-02
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    価格モデルとして各イベントが他のイベントを誘発させる自己励起性を持つHawkesprocess は数多く用いられ、因果関係を伴う経済現象の説明に用いられてきた。特に価格変動のintensity に2次のフィードバックを取り入れたQuadratic Hawkes モデルは金融市場の時間反転非対称性やvolatility の分布のfat tails を再現した。しかし、価格自体のダイナミクスではなくより基礎的なトレーダー単位の注文のダイナミクスを出発点として価格変動を記述するモデルによる説明はされていなかった。そこで我々は、他のトレーダーの注文によって励起される成行注文と板のダイナミクスを同時に考慮したよりミクロなモデルを提案する。本講演ではそのモデルの理論解析の結果について報告する。

    Download PDF (334K)
  • Sato YUKI, Kanazawa KIYOSHI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 03-04
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    金融市場で観測される成行注文流は長期相関を持つことが知られている。成行注文流の長期相関とは、一度買い(売り)注文が観測されるしばらく連続して買い(売り)注文が観測される現象である。現在分野では、注文分割取引という投資家の実務行動がこの現象を引き起こしていると考えられている。さらに、近年提案された一般化Lillo-Mike-Farmerモデルの理論予測によると、市場ごとの注文分割者の注文頻度や注文分割回数の分布を把握することが注文流の長期相関を理解するうえで重要であることが示唆されている。そこで、本研究では、東京証券取引所における注文分割取引者の注文頻度や注文分割回数の分布などの性質を調査する。最終的に、注文流の長期相関の起源を取引者の戦略の生態系という観点から分析した結果を報告する。

    Download PDF (169K)
  • Wu HAOTIAN, Han DONGLI, Zhang CHENGHUAN
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 05-12
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    現代社会においては、科学技術の成果があらゆる場面で活用され、私たちの生活に影響を及ぼしている。特にこの20年では、半導体産業の発展と共に、科学技術も飛躍的な進歩を得た。それは、各国が研究開発への投資と強い関係があると考えられる。その中、一番代表的なのは中国である。中国のテクノロジー系会社も十数年前の5万社弱から2021年の33万社まで増加し、その中代表的な会社はテンセント社とバイドゥ社である。本研究では、主にテンセント社とバイドゥ社の特許データ、市場価値データと決算報告データを利用し、研究開発凝集度とシンプルqの線形回帰モデルを構築し分析を行った。線形回帰の結果、バイドゥ社のような経営が集中している会社の場合は、研究開発を狭めてq値を上げることができるのではないかという仮説を立てることができた。

    Download PDF (3474K)
  • Izawa TSUYOSHI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 13-20
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    金融時系列の分散共分散行列の推定方法についての研究は数多くなされてきた.多くの手法が提案されてきた一方で,どのような場合にどの手法を用いるべきかという問いに対する答えは依然確立されていない.本研究では複数の手法により推定された分散共分散行列を直近のパフォーマンスに基づいて重みづけし加重平均を行うdynamic covariance matrices averagingを提案する.異なるウィンドウサイズのローリングウィンドウで推定された分散共分散行列を組み合わせることで,その時々の市場の変化速度に適応した分散共分散行列の推定が可能になることを示す.

    Download PDF (1002K)
  • Nakata YOSHIYUKI, Sugie TOSHIAKI, Ito KAKERU, Sekiguchi KAIRA, Liu NAI ...
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 21-27
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    株式市場においては、景気循環の局面に応じて、物色される銘柄群に違いが出ると言われている。本研究では、株式市場の構成銘柄について、長期的なリターンの相関係数行列から作成したグラフと、短期的なリターンの関係性を分析して、景気循環と市場の物色傾向の関係性を分析した。長期のリターンの相関係数行列から関係性の強い銘柄同士をクラスタリングして、クラスタ上で短期間の売り買い物色に偏りが発生するかを、Graph Based Entropy と領域間相互作用の手法を用いて分析して、物色が偏る期間の特性について分析した。TOPIX 500、S&P 500、STOXX Europe 600 の 3 つの株式インデックスに対して検証を行ったところ、物色の偏りが景気循環に対する予測力を持つ可能性を示唆する結果となった。

    Download PDF (1152K)
  • Hirano MASANORI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 28-35
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    大規模言語モデル(LLM)の発展とともに、分野や言語に特化した言語モデルの構築の必要性が議論されてきている。 その中で、現在の大規模言語モデルがどの程度の性能を発揮するかを分野に特化して評価するベンチマークの必要性が高まっている。 そこで、本研究では、日本語かつ金融分野に特化した複数タスクからなるベンチマークの構築を行い、主要なモデルに対するベンチマーク計測を行った。 その結果、現時点ではGPT-4が突出していることと、構築したベンチマークが有効に機能していることを確認できた。一方で、それ以外のモデルのパフォーマンスも向上してきており、それらのモデルのパフォーマンス動向についても報告する。

    Download PDF (423K)
  • Yamaguchi RYUSEI, Tashiro YUSUKE, Suzuki AKITO, Tsuji AKIHIRO
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 36-40
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    近年、大規模言語モデルの発展が著しく、様々な領域での活用が研究されている。識別タスクにおいても、大規模言語モデルのfine-tuning により従来のモデルを上回る精度を得られることが報告されている。その一方で、比較的小規模な言語モデルを用いた精度の良い識別手法も近年登場している。そこで本稿では、金融ニュースのタグ付けタスクを対象とし、大規模言語モデルの性能について他のモデルや手法と比較することで有効性を検証する。

    Download PDF (293K)
  • Nakao YURIKO, Ishino AYA, Okada SAI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 41-44
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    近年、有価証券報告書などの企業の開示する文書の可読性と、企業の業績との関係性を示す研究成果が報告されてい。企業が開示する情報として、有名なものに有価証券報告が存在するが、他の情報として、ESG報告書が存在する。ESG報告書は、定量データのみでは解釈の難しい企業の取り組む社会貢献活動などが記載されていることで、近年注目を集めている。本研究では、このESG報告書の中でも、経営者の姿勢が見られるトップメッセージに着目する。本研究では、ニューラルネットワークを用いて、ESG報告書の可読性を判定する手法を提案する。可読性を判定するための提案手法の機械学習には、ニューラルネットワークを用いる。ニューラルネットワークに与える特徴量は、文字数、単語数、文節の数、述語の数、ひらがなの数、カタカナの数、漢字の数、アルファベットの数、係り受け平均距離、カナ最大連続文字数、漢字最大連続文字数、アルファベット最大連続文字数、新しい単語数の13の値の組み合わせと、分散表現を用いた。最も良い結果が得られた提案手法は、分散表現を特徴量として与えた場合であることが示された。本研究会では、得られた手法のモデルをESG報告書の経営トップメッセージに適用し分析する。

    Download PDF (416K)
  • Hamada YUMA, Ishino AYA, Nakao YURIKO
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 45-52
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    近年、環境・社会・ガバナンス(ESG)の各側面を重視するESG投資が拡大している。そのようなESG投資の拡大に伴って、ESG評価は、投資判断や企業方針を導く重要な評価となっている。しかし、現在のESG評価には2つの問題点がある。1つ目の問題点は、ESG評価機関ごとに評価指標が異なっているため、同じ企業を複数の評価機関が評価した際に、評価の不一致が生じてしまうことである。2つ目の問題点は、ESGに関するデータの収集や、評価指標をもとにしたESG評価を人手で行うには、多大なコストがかかることである。ESG評価の価値をさらに高めるためには、これらの問題点を解決する必要がある。そこで本研究では、ESG評価の2つの問題点を解決するため、代表的な評価指標を包括して作成された価値モデルを評価指標として採用し、サステナビリティ報告書から、大規模言語モデルを活用し、ESG評価を自動で行う。

    Download PDF (652K)
  • Nakayama YASUHIRO, Tamura SHUNSUKE, Sawaki TOMOCHIKA, Furuya ISSEI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 53-56
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    本研究の目的は, 金融テキスト解析を用いて多資産間の相関構造を推定することにある. 近年, グローバル経済におけるインフレ率の急騰や各国中銀の金融政策の変更等を背景として, 資産間の相関構造, 特に金利感応度とインフレ感応度, は急激に変化したことで, 投資家のポートフォリオのパフォーマンスに与える影響が増大したため, ポートフォリオ運営における頑健な相関構造の推定の重要性が高まっている. 一方で, 市場で観測される価格データのみを用いた相関係数は, 一定程度の時間ラグを伴うことに加えて, 金融時系列データの非定常性の観点から予測誤差が生じうる, 局面転換が起きた場合にファンダメンタルズの観点での解釈性がやや乏しい, という側面もある. そこで本研究では, ニューステキスト及び中銀テキストに対して自然言語処理を行い, 各資産のファクターに対するエクスポージャーを推定することで, 他資産間の相関係数を算出し, 事後的な相関係数に対する予測精度について検証を行った. 結果, 通常の時系列データからの相関係数と比較しても, 一定の有用性が示唆された.

    Download PDF (692K)
  • Hiruki MIKITO, Nakagawa KEI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 57-64
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    再帰的強化学習は価値関数を用いずに方策を更新する強化学習アルゴリズムであり、方策の更新をある目的関数の勾配に基づいて行う手法がトレーディング戦略に応用されている。しかしながら、それらは少数の具体的な目的関数に基づくものであり、柔軟な目的関数の選択が可能であるとは言えない。そこで本論文では、再帰的強化学習における目的関数を劣微分が1点集合となる凸リスク尺度と、2つの時間整合的な動的凸リスク尺度に設定し、それらの勾配の計算方法を提案する。これにより複数のリスク尺度から柔軟に目的関数を選択することが可能となり、さらにリスクの時間整合的な評価が可能となる。実証分析では、人工データおよび実際の市場データを用いて提案手法の有効性を検証する。

    Download PDF (546K)
  • Fujiwara MASAKI, Nakagawa KEI, Suimon YOSHIYUKI, Akita YUYA
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 65-72
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    連邦公開市場委員会(FOMC)によって決定される金融政策は、多様な資産に影響を及ぼす。この研究では、FOMCの会合日の二週間前から当日にかけて、金融政策の影響が特に顕著に現れる時期を対象とし、各種資産の価格変動をモデル化する。分析には、市場、マクロ経済データと国内景況感を示すBeige Bookのテキストデータを用い、XGBoostモデルを活用して予測を行った。さらに、連邦準備制度が「物価の安定と雇用の最大化」を目的に政策を運営していることを踏まえ、これらの目標に関連するテキストデータを特徴量化し、モデルの性能向上を図った。

    Download PDF (907K)
  • Taguchi REI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 73-76
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    In this study, we develop a binary classification credit risk model using quantum machine learning techniques. I propose a QSVM (Quantum Support-Vector Machine) in which the kernel function part is replaced by a quantum circuit, and construct a new credit risk model based on it. The results show that the proposed method outperforms the comparison method. This suggests that quantum machine learning is useful to some extent for constructing credit risk models.

    Download PDF (248K)
  • Takahashi TOMONORI, Mizuno TAKAYUKI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 77-79
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    株価をはじめとした金融時系列の生成はその変動の統計的性質から困難な課題である。これまで敵対的生成ネットワーク(GANs)、変分オートエンコーダー(VAEs)といった手法でこの課題への対処が試みられてきたが、普遍的とされる統計性全てを満たすモデルは存在しない。本研究ではウェーブレット変換と拡散モデル、特にDenoising diffusion probabilistic models(DDPMs)を適用しこの課題を解決するモデルを提案する。同手法により株価に加えて出来高やスプレッドといった関連時系列が同時に生成され、それらが金融市場で観測される統計性を再現していることを示す。

    Download PDF (592K)
  • Inokuchi RYO, Kato MASAHIRO, Kaibuchi HIBIKI, Noda SHUNYA, Imaizumi MA ...
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 80-95
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    私たちは、複数のクライアントがそれぞれ異なる性質を持つデータを有している状況での、分散学習の問題を考える。金融やマーケティングでは、各組織が機密性の高い情報をそれぞれ持っていることが多い。そうしたデータの機密性を保ったまま、各組織が協力してモデルを学習することは長年の課題である。このような問題に対して、クライアントがデータそのものを共有するのではなく、各クライアントがそれぞれ訓練したモデルを統合することで、より性能の高いモデルを訓練する連合学習が、新しい分散学習の枠組みとして提案されている。連合学習は、その有用性にもかかわらず、クライアントのデータ分布の不均一性に弱いことが指摘されている。本研究では、クライアントの期待リスクに関する統計理論を構築することにより、この問題を検討する。私たちの貢献は二つある。第一に、連合学習によって達成されるクライアントの最小リスクを評価する。私たちは、連合学習が最悪の場合全てのクライアントのデータを反映できないことを示す。第二に、クライアントのデータ分布の不均一性を解決するための新しい手法を提案する。それは密度比推定と勾配コミュニケーション学習である。提案手法では、クライアントの期待リスクはサンプルサイズに対して最適な収束レートを達成する。さらに、この結果を応用し、効用分析により期待リスクとコミュニケーションコストのトレードオフを調べる。私たちは、数値実験によってこれらの理論的知見を支持する。

    Download PDF (1023K)
  • Baba KENTARO, Kato MASAHIRO, Imai TAKASHI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 96-101
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    本研究では,正例データとラベルなしデータによる二値分類器の学習(learning from positive and unlabeled data; PU学習)を応用して,ターゲットマーケティングにおける潜在的顧客の特定のための手法を提案する.私たちは,企業がある商品を販売し,その商品を購入した顧客を観測できる状況を考える.意思決定者は,人々の企業へのロイヤルティの有無に基づいて,効果的に商品をマーケティングすることを目指す.ロイヤルティのある人々とは,マーケティングを行わなくても,その企業に対して関心があるような人々である.そのような人々は,企業がマーケティングを行わなくても,その商品に興味があれば,その企業で商品を購入する可能性が高い.そのため,商品に興味はあるものの,企業に対するロイヤルティが低い顧客に向けてマーケティングの焦点をあてることで,より効率的なマーケティングを行うことを考える.この目的のもと,潜在的な顧客を特定する分類器を限られたデータから学習する方法を考える.私たちのアルゴリズムは一段階の最適化で構成されているが,目的関数には潜在的にPU学習アルゴリズムの損失を二つ含んでいる.そのため,提案するアルゴリズムを二重PU学習と呼ぶ.提案アルゴリズムの妥当性はシミュレーション研究を通じて確認される.

    Download PDF (500K)
  • Kato MASAHIRO, Kaibuchi HIBIKI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 102-109
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    ポートフォリオの最適化は投資において重要な問題である。既存のポートフォリオ最適化手法の多くは、ポートフォリオを構成する資産のリターンの分布に関する情報を必要とする。しかし、そのような分布情報は通常、投資家にとって未知のものである。分布情報を推定するための様々な手法が提案されているが、その精度は金融市場の不確実性に大きく依存する。その不確実性のために、ある時点で分布情報を良く予測できていたモデルが、異なる時点では別のモデルと比べて精度が落ちることがある。この問題を解決するために、私たちはベイジアン予測統合に基づくポートフォリオ最適化のための手法を研究する。私たちは、投資家が複数の資産リターン予測モデルを利用できることを仮定する。動的線形モデルを用いるベイジアン予測統合を用いて、それらの予測を組み合わせて予測を行うことにより、金融市場の不確実性に対応した資産の分布情報に関する予測が可能になる。本研究では、そうして予測された分布情報をもとに、平均分散ポートフォリオや分位点に基づくポートフォリオを構築する方法を提案する。

    Download PDF (489K)
  • Kato RUI, Miyakawa DAISUKE, Yanaoka MASAKI, Yukimoto SHINJI
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 110-115
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    本稿では、近年利用が拡大している個人のGPS位置情報データ(滞在人口データ)を用いて工場レベルの滞在人口を計測した上で、計測対象工場を有する企業の「取引先」におけるリース需要の予測を行う。具体的には、第一に、製造業に属する企業の主要な工場における滞在人口の変動をGPS位置情報データによって計測する。第二に、この計測値を用いて、当該企業の仕入先に当たる取引先企業におけるリース需要の発生有無を予測するモデルを、国内最大のリース取引実績を有する三井住友ファイナンス&リース株式会社のリース契約データを用いて構築する。予測結果から、新型コロナウイルス感染症の拡大から企業活動が大きく撹乱された時期を除けば、滞在人口データが取引先企業のリース需要予測に貢献することが確認された。

    Download PDF (637K)
  • Miyakawa DAISUKE, Maehashi KOHEI, Sasamoto KANA
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 116-121
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    Using the transaction-level records accounting for the universe of the credit default swap (CDS) contracts in Japan, we document whether and how (if any) the relative centrality of sellers to buyers affects CDS price. First, our panel estimation, which comprehensively controls for the pricing factors (e.g., entity's risk, counter-party risk, notional, and maturity) considered in practice, suggests that CDS price becomes higher as the relative centrality of sellers to buyers becomes higher. Second, this centrality premium is observed mainly in the market with higher credit risk and further increases when the buyers attempt to unwind their short position made in the past. Third, deeper trade relations between sellers and buyers result in centrality discount (premium) in the market with higher (lower) credit risk. These results suggest the tradeoff between the cost of maintaining relationship in good periods and the benefit of securing cheap access to CDS in bad periods.

    Download PDF (373K)
  • Nakakita MAKOTO, Nishimura TAIGA, Hoshino TAKAHIRO
    Article type: SIG paper
    2024 Volume 2023 Issue FIN-032 Pages 122-124
    Published: February 27, 2024
    Released on J-STAGE: February 28, 2024
    RESEARCH REPORT / TECHNICAL REPORT FREE ACCESS

    REITは不動産投資による収益を分配する金融商品であり、経済状況を反映する重要な指標である。REITの決算短信は3か月ごとに発表のため、価格と分配金利回りに大きな乖離が発生し、REITの価格が経済実態を適切に反映しているとは言えない場合が生じる。そこで本研究ではオルタナティブデータである輸送トラックやスマートフォンの位置情報データに着目し、物流・人流という観点から物流施設型REITと商業施設型REITの2つの特化型REITのパフォーマンス予測を行った。

    Download PDF (619K)
feedback
Top