人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
東京証券取引所における複数カーネルHawkes過程による取引クラスター特性の分析
須藤 実大西 立顕
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2024 年 2024 巻 FIN-033 号 p. 122-129

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抄録

金融市場で観測される取引はクラスター性を持つことが知られており,特に高頻度取引(HFT)が市場に与える影響は重要な研究テーマとなっている.本研究では,東京証券取引所の主要な200銘柄の株取引データを用いてHawkes過程に基づくモデリングを行い,取引の内因性と外因性を分析した.HFTと非HFTの影響を分離して分析するために,指数関数カーネルの和を使用したHawkes過程モデルを採用し,2013年2月から2023年12月までのティックデータによるモデリングを行った.その結果,二つ以上の指数関数カーネルを持つモデルが良好なフィッティングを示し,異なる特性の取引活動が市場に及ぼす影響をより捉えられることが確認された.これにより,高頻度取引(HFT)と非高頻度取引(非HFT)が異なるクラスター特性を持つことが示唆される.また,モデルにより,内因性のイベントクラスターが取引数に依存せず独立することや,arrowheadシステム変更後の取引応答速度の向上に伴う時定数の変化が観察された.

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© 2024 著作者
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