人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
価格インパクトの非普遍性仮説の検証:GGPSモデルの検証に基づく議論
佐藤 優輝金澤 輝代士
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2024 年 2024 巻 FIN-033 号 p. 132-134

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抄録

金融市場で観測される頑健な統計則に価格インパクトの非線形性という統計測がある。価格インパクトの非線形性は、大口注文を執行によって発生する価格変動(価格インパクト)が非線形な応答を示すという現象である。現在、この価格インパクトの非線形性という現象について、戦略や市場の状態に依存性の有無について議論がされている。例えば、2006年に提案されたGabaix-Gopikrishnan-Plerou-Stanley (GGPS) モデルは、価格インパクトの形状は取引戦略と市場の詳細に依存することを主張している。一方で、取引戦略や市場、参加者などの詳細に依存せず、価格インパクトは平方根則に従うという普遍性を主張するグループも存在する。このように、価格インパクトの性質に関して相異なる主張が共存しているのだが、これは価格インパクトの性質に関する包括的な調査を行った研究が存在しないことが一因にある。本公演では、東京証券取引所の現物板再現データを用いて、価格インパクトの性質について全数調査を行った結果について報告する。最終的に、価格インパクトの非普遍性を主張するGGPSモデルの有効性について、全数調査とシミュレーション結果を踏まえて議論を行う。

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© 2024 著作者
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