2025 年 2025 巻 FIN-034 号 p. 138-144
本研究は、財務指標および株価情報を活用した機械学習による企業の業種分類を提案し、その効果を従来の分類手法と比較する。ファイナンスおよび会計分野において業種分類は、期待外株式リターンや財務指標の分析において重要な役割を果たす。しかし、事業の多角化やM&Aの進展に伴い、日経産業分類、東証33業種分類、GICS分類などの従来の業種分類コードの正確性に対する懸念が高まっている。本研究では、Geertsema and Lu (2023) が提案した勾配ブースティングマシン(GBM)を用いた分類手法を導入し、従来の業種分類コードと比較した。具体的には、GBMを用いて財務データや株価情報に基づき企業グループの同質性を評価し、分類のパフォーマンスを検証した。そして財務指標および株価情報を用いて企業グループの同質性を評価し、これらの従来の枠組みに対するGBMに基づく分類のパフォーマンスを評価する。さらに、GBMを用いた業種分類を用いて、投資戦略のパフォーマンスを検証した。本研究による機械学習による業種分類が、従来の分類手法を補完し、企業グループの同質性の評価や産業分類の信頼性向上が期待される。