主催: 人工知能学会
会議名: 第100回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 100
開催地: 国立国語研究所 講堂
開催日: 2024/02/29 - 2024/03/01
p. 85-89
本稿では,会話分析で作成利用されるトランスクリプトの作成補助ツールであるtracrin2.0を紹介する.会話分析では,分析のためのトランスクリプトが重要な役割を果たす. こういったトランスクリプトを作成する際のルールは,様々な記号を駆使するかたちで整備されてきたが,人力による調整が必要とされてきた.例えば発言の重複開始位置などは,半角スペースなどを挿入し,記号の位置を調整することで表現されてきた.ELANは,重複の開始位置等をほとんど気にせずとも重複を視覚化することができるなど,転記作業の容易化に大きく貢献したと考えられる.一方で,論文化にあたっては依然としてトランスクリプトに落とし込む必要があり,課題が残っている.tracrin2.0では,ELANで作成した転記から,オーバーラップ記号などの位置を自動的に調整し,会話分析の論文などで利用可能なトランスクリプトに変換するものである.