人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会
Online ISSN : 2436-4576
Print ISSN : 0918-5682
103回(2025/3)
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方言の相互行為分析:宮城方言「だから」による承認に着目して
阿部 春香
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会議録・要旨集 認証あり

p. 145-150

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抄録

本研究は、宮城方言において同調表現とされていた「だから」を会話分析的手法によって分析し、厳密には「承認」という行為であることを示す。宮城方言「だから」は先行研究において、相手の発話に同意や共感、共通認識であることを示すものとされ、方言話者にとっては「強い同意」として使用されているとされてきた(東北大学方言研究センター, 2013; 真山, 2012;甲田, 2019) 。いずれの先行研究も大変示唆的である一方、なぜ「強い同意・共感」となり得るのかその客観的事実を示すことができていなかった。本研究は分析を踏まえ、宮城方言「だから」の基本的連鎖を示している。さらに宮城方言「だから」の特徴として、会話参加者の認識的・感情的・評価的スタンスのいずれかが一致した直後に宮城方言「だから」が産出されること、宮城方言「だから」の直前の発話が理解候補の提示としてデザインされていることを明らかにしている。

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