主催: 人工知能学会
会議名: 第103回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 103
開催地: 早稲田大学 40号館 グリーン・コンピューティング・システム研究開発センター
開催日: 2025/03/20 - 2025/03/22
p. 234-238
松本は、青森県津軽地方の発達障害に関わる人々の間に存在する「自閉症児は津軽弁を話さない」との風聞をきっかけにASDの方言使用に関する研究を行ってきた。全国調査の結果は、ASDの人々の方言不使用という印象が全国でみられること、さらに方言語彙の使用も少ないことを示した。また、アイスランドおよびアラビア語圏など自然言語とメディアで優位な言語に乖離がある地域では、ASDの人々でメディア言語の優位な使用が見られるとの報告があり、メディアからの言語習得の可能性が指摘されている。一方、言語発達の先行研究は、言語習得における社会的相互作用の重要性を指摘しており、メディアからの言語習得については批判的な意見が強い。障害特性、社会の言語システム、さらにメディア機器・コンテンツの進化という側面から、方言主流社会、アイスランド、北アフリカでみられる現象と言語発達の先行研究を融合する解釈を提出する。