人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会
Online ISSN : 2436-4576
Print ISSN : 0918-5682
103回(2025/3)
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日本語母語話者の自閉スペクトラム症者を対象とする公開コーパス活用の可能性—間投助詞・終助詞「ね」の使用率・用法の比較—
鈴木 あすみ幕内 充和田 真中村 仁洋石井 亨視小磯 花絵
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会議録・要旨集 認証あり

p. 248-253

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抄録

自閉スペクトラム症 (ASD) 者と定型発達 (TD) 者の間では、両者のコミュニケーションスタイルの違いから語用論的な障害が生じ得る。本研究では、日本語母語話者のASD者を対象とする映像付きコーパスを構築し、国立国語研究所からの公開を目指す。ASD者/TD者各6名を対象に、1人当たり合計約110分の会話の映像・音声 (P-Fスタディ・コミュニケーションの困りごとインタビュー・自由会話) を収録した。現時点で形態素解析済みのASD者6名/TD者5名のP-Fスタディのデータに基づき、総発語数に占める間投助詞・終助詞の「ね」の使用率の差を検証したところ、ASD者 (平均1.44%) はTD者 (平均3.36%) に比べ「ね」の使用率が低かった (p = 0.004)。本研究で示された「ね」の使用率の低さは、ASDの診断における指標やサブグループ判別に有効な特徴量として活用できる可能性がある。

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