主催: 人工知能学会
会議名: 第103回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 103
開催地: 早稲田大学 40号館 グリーン・コンピューティング・システム研究開発センター
開催日: 2025/03/20 - 2025/03/22
p. 248-253
自閉スペクトラム症 (ASD) 者と定型発達 (TD) 者の間では、両者のコミュニケーションスタイルの違いから語用論的な障害が生じ得る。本研究では、日本語母語話者のASD者を対象とする映像付きコーパスを構築し、国立国語研究所からの公開を目指す。ASD者/TD者各6名を対象に、1人当たり合計約110分の会話の映像・音声 (P-Fスタディ・コミュニケーションの困りごとインタビュー・自由会話) を収録した。現時点で形態素解析済みのASD者6名/TD者5名のP-Fスタディのデータに基づき、総発語数に占める間投助詞・終助詞の「ね」の使用率の差を検証したところ、ASD者 (平均1.44%) はTD者 (平均3.36%) に比べ「ね」の使用率が低かった (p = 0.004)。本研究で示された「ね」の使用率の低さは、ASDの診断における指標やサブグループ判別に有効な特徴量として活用できる可能性がある。