主催: 人工知能学会
会議名: 第104回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 104
開催地: 広島大学 東広島キャンパス 法人本部 4階会議室
開催日: 2025/09/08 - 2025/09/09
p. 26-30
公の場で子どもに適切にふるまわせることは,親にとって大きな悩みの種となりうる。本研究では,未就学の子どもとその親が絵本読み聞かせ実験に参加した際の会話を用いて,実験中の子どもの発言や行動を親が「この場では不適切」と見咎めるやり取りから,子どもの監督者である親自身のふるまいとその背後にあると考えられる意識を明らかにする。使用したデータセットでは,子どもが収録機材に興味を示す場面と,子どもが突然に「終了意思表示」をすることによって,研究者の指示通りに読み聞かせ活動ができなくなる状況で,親から子どもに向けた「注意」(高梨2016)が生じやすい。当日の発表では特に後者を取り上げ,親がどのような言語的表現を用いて説得するのか,またその説得が成功するか否か(子どもが翻意・妥協するか)を会話分析の手法で確認する。その上で,子どもの監督者であると同時に実験協力者でもある親の二方向への指向性について論じる。