主催: 人工知能学会
会議名: 第106回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 106
開催地: 早稲田大学 早稲田キャンパス8号館B107
開催日: 2026/03/03 - 2026/03/04
p. 47-52
本発表は、Zoomを利用したマルチモーダルな相互ケア的対話の実践のあり方を検討する。分析対象は、Zoomによる読書会形式の相互ケア対話の録画データと逐語記録であり、言語発話に加えて、沈黙、視線方向、姿勢、応答遅延、韻律等のマルチモーダル資源に注目した。相互ケアとは、助言や問題解決を目的とする一方向的支援ではなく、参加者が互いの語りに応答し合い、語り続ける条件を支え合う関係的実践を指す。分析の結果、意味が即時に確定されない状態が、語り手に経験を語り直す余地を与え、聞き手に応答を急がない姿勢を可能にすることで、オンライン環境においても相互ケア的関係の形成と維持を支えていることが示された。Zoomでの対話には、相手の反応の微細な変化や関係的距離感の調整が難しいという制約がある一方で、情報共有にとどまらず、マルチモーダルな相互行為を通じて対話の理解と支援を支える場として機能しうる可能性を示唆する。