主催: 人工知能学会
会議名: 第92回 言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 92
開催地: オンライン
開催日: 2021/09/03
p. 10-
本稿は、アメリカ合衆国のコメディドラマをデータとして用いて、会話分析の立場から登場人物の相互行為を分析することで、その相互行為が製作者によっていかにしてユーモラスなものとしてデザインされているのかを解明する。注目するのは、ある登場人物が他の登場人物の発話に対する誤解を示すという現象である。データの中で繰り返し見られたのは、登場人物Aが、登場人物Bによる直前の発話を道徳的に問題のあるもの(例えば差別的発言)として理解し批判した後に、他の登場人物(Bあるいは第三者)から訂正を受け、Aの当初の理解が誤解であることが明らかになるパターンである。コメディドラマの製作者は、他者を道徳的に批判していた人物が、実際には誤解に基づいてそうした批判を行っていた点で道徳的に問題があるという落差あるいは不一致を視聴者に向けて観察可能にし、ユーモアを産出しているのである。