人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会
Online ISSN : 2436-4576
Print ISSN : 0918-5682
94回 (2022/3)
会議情報

依頼連鎖の開始に用いられる謝罪表現「ごめん」
梁 勝奎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 12-

詳細
抄録

本研究では、依頼する前に謝罪表現「ごめん」を用いることによってどのような相互行為上の課題に対処しているかを、会話分析の方法を用いて明らかにする。依頼行為を組み立てる際に、依頼の受け手が現在している活動と依頼内容が関係あるかどうかは依頼者が考慮しなければいけない重要な要素である。受け手が現在している活動と関係がないことを頼むことは、関係あることを依頼することより相手に負荷をかけるので、よりデリケートに行為を構成する必要がある。食事の場面で「ごめん,その皿ちょうだい」のように、依頼の前に謝罪表現「ごめん」を使うことは、受け手が現在している活動と依頼内容が関係ない(違う活動の)場合によく現れ、単に謝罪の気持ちを表すだけではなく、依頼する内容が依頼者が個人で行う活動のためのものであることと共に、活動の中断または軌道の変更など、受け手の現在の活動の進行性に影響を与えることを投射している。

著者関連情報
© 2022 人工知能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top