1977 年 39 巻 3 号 p. 271-278
本報告は装軌式トラクタが, 1軸2輪のトレーラをけん引して水平平坦路面を定常旋回する場合について, 履帯の対路面すべり特性を考慮した旋回理論式を導き, 数値解析するとともに模型車両により理論の妥当性を確かめたものである。その結果, けん引負荷とトラクタおよびトレーラの旋回半径, 操向比と旋回半径の関係, トレーラ形状と旋回挙動の変化, 高速旋回時の操向特性等を解析できることが明らかとなった。
この理論式を用いることにより, 装軌式トラクタの運動性能, 旋回に必要な動力, 操向比と旋回半径等の設計に必要な諸元を計算することができ, さらに荷物積載時の重心移動, 履板形状による粘着力の特性, 被けん引物の力学的特性を考慮することにより, 泥ねい地, 砂地, 雪上等における車両の運動についても解析することが可能となる。