従来, 人の勘に頼ってきた果実の品質, 熟度の判定作業は, 将来は客観的な判定基準にもとずいて機械化されなくてはならない情勢にある。
この研究は, 果実の振動, 衝撃特性を明らかにし, それらが「品質, 熟度の客観的な判定基準」となりうることを示したものである。
果実の品質判定のためこの一連の研究で行なつた内容は, (1) 音波振動を加えた果実の共振点 (周波数, 振巾) の変化, (2) 一定周波数における果実の伝達出力の変化, (3) 果実の粘性特性の変化, (4) 果実の衝撃伝達波形の減衰, (5) 衝撃による果実の伝達波形のスペクトル解析, であり, それそれにつき既存の破壊サンプリング試験との比較を行ない, 判定法としての資料を得た。
この非破壊のまま行なう判定法は, 処理が迅速であり, 圃場での収穫適期の判定や選果場での等級選別に広く応用できる見込みである。
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