1984 年 46 巻 1 号 p. 621-626
十勝地方では, ナガイモの冬期の農家単位の簡易で安価な品質保持方法として, 地中越冬が行われている。この方法は冬期の土中の貯蔵適温を利用しているため, 貯蔵費用が掛からず, ナガイモの貯蔵エネルギーの節約に有効と考えられるが, ナガイモの品質におよぼす影響は明らかでない。地中越冬ナガイモの品質変化を追跡した結果, 粘度は11月初旬から中旬にかけ大幅に低下したが, 甘味の主たる要因の非還元糖含量の増加が抑制された。二つの品質特性, 粘度および甘味は地温および還元糖含量の関数で表現できた。