R. L. Schafer らによって開発されたアナログ予測システムを用いて, ロータリ耕うんトルクの予測を行い, その予測精度を検討した。
相似形状をもち, 長さ比が1, 1.25, 1.61の3種のロータリ爪及びアナログ器としての3個の円すい体を供試した。実験は土壌槽装置を用い, 3段階の含水比のシルトについて, 耕深を3水準に変えた耕うん及び円すい体貫入抵抗測定が行われた。円すい体貫入抵抗値としては, 地表から各円すい体に対応するロータリ爪の耕深水準に当たる深さまでの平均貫入抵抗値を採用した。アナログ予測理論に準拠して2個の模型爪から最大のロータリ爪 (市販品) の耕うんトルクの予測値を求め, 測定値との比較をするとともに,予測誤差を検討した。
実験の結果, 予測誤差の平均値はきわめて小さな値であったが, これは正負の誤差が相殺したためであり, 標準偏差は大きな値を示した。よって, 予測誤差の絶対値について見たところ, 予測精度の比較的良好であらた大きな模型爪においても平均予測誤差13.5%, 標準偏差7.61%と, 当面の目標予測誤差10%以内には及ぼなかった。そして, これら予測誤差の変動の原因が検討されたが, けん引形作業機を対象とする場合にくらべ, 土及び機具の条件がより鋭敏に抵抗に影響するロータリ爪について予期した以上の予測精度が得られたことは, 今後のアナログ予測えステム研究のための足がかりとなろう。
抄録全体を表示