1992 年 54 巻 4 号 p. 89-96
食パンの保存中における粘弾性特性の経時変化を把握するために, まずクラムを対象としたクリープ試験から再現性のある結果を得るための標準的載荷条件を実験的に明らかにした。次にこれらの条件下で得られた典型的クリープ曲線に基づく粘弾性挙動を理論的に表現するために, 4要素モデルを適用し, 各粘弾性係数を求めた。これらの係数には異方性が認められ, 生地成形法などによっても影響を受けることが分かった。更にこれらの粘弾性係数はいずれも焼成後の経過時間に比例して増大する傾向を示し, 特に焼成後12時間までの変化速度が大きく, また保存温度が低温であるほど大きくなることを明らかにした。