農業機械学会誌
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おがくずガス化発電用ガス発生炉の性能に関する実験的研究
可燃ガス発生プロセス, 炉内温度分布および生成ガス・固形分組成の分析
清水 幸丸松平 恒夫法貴 誠
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1999 年 61 巻 6 号 p. 113-124

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抄録

おがくずを燃料としたガス化コジェネレーションプロセスを開発し, 改良を重ねてきた。ガス発生炉は竪型の移動床で, 炉底から吸引される空気によりおがくずを燃焼し, その燃焼熱を熱分解の熱源としている。生成ガスは, 洗浄後ガスエンジンを駆動し直結した発電機により電力に変換される。エンジン排ガスから温水を回収し, さらに温風に変換し木材の乾燥に用いており, プロセス全体のエネルギー回収効率は50%を越えている。しかしながら炉内の反応状況については不明な部分が多く, プラントとしてスケールアップを図る観点からも炉内の状況を把握することは重要であると考え, 生成ガス性状, 炉内温度分布および発電出力などの運転性能との関係について詳細な計測を実施した。さらに5年間操業してきた炉を停止し, 炉堀を行い炉内の状況を詳細に調査した。その結果, 以下の点が明らかとなった。(1) ガス発生炉の冷ガス効率は約50%であり, 発熱量が4~6MJ/Nm3のガスを安定して回収できる。(2) おがくず中の固定炭素の燃焼熱を熱源とし, 700℃程度の温度領域で安定したガス化が行われている。(3) 炉内に充填された未反応のおがくず層は, タール除去およびガスの偏流防止に効果的な役割を果たしているが, 通気抵抗の原因でもあり, この堆積層厚さは設計上最も重要な要素である。

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