農業機械学会誌
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近赤外分光法による玄米の高速選別に関する研究 (第1報)
玄米1粒成分自動選別機の開発
夏賀 元康仲村 彰敏河野 澄夫
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2002 年 64 巻 1 号 p. 100-105

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抄録

自然界に存在する変異あるいは人為的な変異を生じさせた原試料の中から育種に必要な成分 (たとえばタンパク質) の粒のみを選別するには, 大量の原試料を短時間で処理する必要がある。また, 単品種として市販されている玄米の中には意図的に他品種を混米したものがあり, このような手段により不当な販売利益を得ようとしている業者も存在するといわれている。大量の原試料を水分やタンパク質などの成分により高速に選別できれば, このような不正な混米がされた玄米かどうか, 容易に判定できる。このような選別や判別を行うため, 小麦と米は市販の分析計による1粒測定の研究が行われてきているが, 測定に時間を要し, また取扱いも非常に煩雑であるのが現状である。このため, 水分とタンパク質含量に基づく高速な玄米1粒成分自動選別機を開発した。装置は試料供給部, 測定部, 選別・貯留部, 演算制御部で構成されている。試料供給部は最大5kg容量のホッパーから玄米を1粒ずつ取り出して測定部に送る。測定部では3つの近赤外アレイセンサにより玄米のスペクトルを測定する。演算制御部のPCが算出したタンパク質含量の推定値に基づき, 玄米は選別・貯留される。スペクトル測定時間は500ms, 総合選別速度は1粒当たり2.8sであった。

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