2023 年 85 巻 6 号 p. 393-399
クラウド基盤を用いたロボットへの操舵制御に際して,ネットワーク間のデータ伝播や膨大な計算に伴った,遅延時間が生じてしまう。本研究では,運動モデルを基にして,遅延時間の横方向移動距離を推定し,その推定値を用いて操舵制御を行う方法を考案した。考案した遅延補償による推定横方向偏差の精度は0.04 mであり,十分な推定精度が確保されていた。加えて,マシンビジョンによる操舵制御システムを,クラウド上に配置し,遅延補償を行ったところ,走行精度が最大76%改善された。以上の結果から考案したロボットの運動モデルを基にした伝送遅延補償システムが有効であることを明らかにした。