人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
高度房室ブロックおよび洞不全症候群における心室overdriving testの意義
小石沢 正伊藤 翼三井 利夫堀 原一
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 12 巻 1 号 p. 58-61

詳細
抄録

ペースメーカー植込みの対象となる高度房室ブロック(AVB)と洞不全症候群(SSS)に対して, ペーシング中の自動能, ペースメーカー植込み後の不整脈を検索する目的でVentricular Overdriving Test(VOD)を施行した。AVB 20例(stable AVB 8例, unstable AVB 12例)とSSS 10例(I型3例, II型5例, III型2例)に対してVODを施行し, AVB群では8例に4秒以上の心室自動能の抑制がみられ, 10例は抑制されなかった。SSS群では心室ペーシングによって心房への逆行性伝導のみられたII型の3例では自己リズムが抑制されたが, 他の7例は抑制されなかった。またVODによる自動能の抑制は, pacing rateとVODを行なっている時間とに相関するものが多く, VODの自動能への影響は数分以内に消失すると考えられた。VODは房室伝導の回復及び進行と, ペースメーカー植込み後の不整脈, ヒステレシス機構の作動状態などを推測する上で, 臨床的に有意義であると考えられた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top