人工臓器
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装着型人工腎臓装置の改良
―非固定化ウレアーゼカラムの開発―
川口 博昌渡辺 俊文屋ケ田 和彦杉本 久之西村 光世高井 信治高橋 浩大坪 修
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1983 年 12 巻 2 号 p. 666-669

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抄録

透析液再生方式の人工腎臓では, 血中より透析液中に移行した尿素は, ウレアーゼによってアンモニアとCO2に分解し, これをアンモニア吸着剤にて吸着, 除去することで処理している。しかし, これまで, ウレアーゼは, その酵素活性が時間とともに低下する問題があり, 何らかの方法で失活を防ぐ必要がある。今回, 我々は, 透析液に市販のアミノ酸製剤を添加したものに粉ウレアーゼを溶解し, H, F, A, K, の灌流液側に充填, 血液側に再生すべき透析液を灌流する構造のウレアーゼカラムを試みた。灌流する透析液にも, ウレアーゼカラム内のウレアーゼ溶液と同濃度にアミノ酸製剤を添加して, in vitro試験, in vivo試験を行ったところ, いずれの場合にも, 尿素のアンモニアおよびCO2への分解が経時的に安定して行われ, カラム出口で高濃度のアンモニアが観察された。この方法が, ウレアーゼの失活を防ぐ, 1つの有用な手段であることがわかる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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