抄録
慢性透析患者の骨障害に深い関係をもつといわれている血中Pレベルに対し, 透析治療(HD)およびアルミゲル投与がどのような影響を及ぼすかを定量的に調べるため, 臨床評価とシミュレーション解析を行なった。
1) PはHD中にもreboundしたり, 除去率が前値に依存するなど, BUNやCRとは異なった挙動を示す。
2)細胞外液を対象とした単一プールモデルで, 治療時間とともに亢進する見掛けの産生速度(G)を仮定すると, Pの特異的な血中動態がシミェレートできる。このモデルによると, HD終了時のGは開始時のそれに比べ30~300倍に達している。
3)アルミゲル投与により血中Pは有意に低下するが, その低下量はアルミゲル投与量に比例しない。