人工臓器
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セグメント化ポリエステルの動物における評価
今井 庸二渡辺 昭彦
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1984 年 13 巻 3 号 p. 1189-1192

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抄録
ポリエーテルをソフトセグメント, ポリテトラメチレンテレフタレートをハードセグメントとするセグメント化ポリエステル(SPE)をラットの皮下に埋植し. 組織反応及び材料側の変化を2年以上にわたり検討した。15×15mmのSPE及び比較試料としてのポリエチレンテレフタレート(PET)のシートをラットの背部の左右の皮下に1枚ずつ埋植した。組織反応は, SPE, PETとも大差はなく, 低刺激・低毒性材料に共通のパターンであった。12カ月ほどで線維性被膜厚さはほぼ一定となり, SPEで0.25mm, PETで0.3mmとなり, SPEの方が薄かった。1年以上生存したラット10匹中, 19カ月目にPETにおいて腫傷が発生したが, SPEにおいては1例も発生しなかった。PETの引張強さはやや低下する傾向が見られたが, SPEの方は安定した強さを示した。生体適合性, 機械的性質の安定性から, SPEは一つの安全な埋植用軟質ポリエステル系医用材料となり得ると思われる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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