人工臓器
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フッ素系高分子の生体適合性
今井 庸二渡辺 昭彦
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1984 年 13 巻 3 号 p. 1193-1196

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抄録

フッ化ビニル, フッ化ビニリデン, 塩化3フッ化エチレン, 4フッ化エチレン, 6フッ化プロピレン, パーフルオロアルキルビニルエーテルのようなフッ素を含む単位からなる高分子の単独重合体及び共重合体16種類について細胞培養実験を行ない, 細胞の付着性, 増殖性, 形態を調べ, 生体適合性を評価した。細胞の付着性は, 単独重合体では構成単位分子中のフッ素数が少ないほどよく, フッ化ビニルで一番よく付着した。フッ素で完全に置換されているパーフルオロ高分子では付着性が著しく低下した。共重合体では, パーフルオロ構成単位分子以外のものを含む場合には, その影響がかなり強く現われ, 付着率が大きくなった。ビニル系高分子でありながら, 付着率が高い割には大きな増殖速度を示したものはあったが, 付着率が小さく増殖速度も小さなものは得られなかった。パーフルオロ高分子を除いて, 単にフッ素が入っているだけではあまり特色は現われなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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