1985 年 14 巻 1 号 p. 484-486
膜型血漿分離器における赤血球への影響を濾過血漿ヘモグロビン吸光度により測定することの妥当性と膜作用圧力(以下TMP)上昇時での膜型血漿分離器の濾過血漿ヘモグロビンへの影響について検討した。使用した膜型血漿分離器は, cellulose diacetate(以下CA)膜, polyvinylalchol(以下PVA)膜の2種類である。TMP上昇にともなう血液中赤血球数, ヘモグロビン濃度にはCA膜, PVA膜ともにinletとoutletとの差は認めなかった。吸光度測定では, CA膜においてTMP上昇(100mmHg)で濾過血漿ヘモグロビンが微量ながら確認され, 赤血球の破壊を認めた。PVA膜においては, TMP上昇による濾過血漿ヘモグロビンの変化なく, 赤血球への影響は認あなかった。膜型血漿分離器のTMP上昇にともなう溶血防止のためには, 微量な溶血の判定は, 肉眼的に困難であり, 溶血の指標として濾過血漿ヘモグロビン吸光度を治療中連続的にモニターすることにより溶血の程度を初期の段階で検知することが可能である。