人工臓器
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Push/Pull HDFの腎性貧血に対する有効性およびその理由について
吉田 文直豊田 立身大林 祥悟成田 真康前田 憲志臼田 正恒新里 高弘鶴田 良成
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1985 年 14 巻 2 号 p. 612-615

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抄録
我々は以前, 点滴用置換液を必要としない血液透析濾過法(Push/Pull HDF)を報告した。この方法ではhemofilter膜の小孔を約4分おきに300mlの透析液で逆洗するため, 治療の進行に伴って生じる膜の中分子量物質に対するsieving coefficientの低下を最小限にすることができる。したがって, この方法は中分子量物質の除去に関して, 膜の中分子量物質に対するsieving coefficientが治療の進行に伴って著しく低下する従来の濾過型人工腎より優れていると考えられる。
今回, 我々は10名の長期透析患者の治療をPush/Pull HDFに切り換え, Push/Pull HDFの臨床的有効性を検討した。その結果, 10名中7名に貧血の有意の改善が認められ, 10名中7名に治療前血清リン濃度の有意の低下が認められた。このような個々の患者における傾向を返映して, 全患者についても貧血の有意の改善と治療前血清リン濃度の有意の低下が認められた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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