人工臓器
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中分子量代謝物異常をきたす疾患における血液濾過療法の再評価
斎藤 明内藤 秀宗広畑 衛
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1985 年 14 巻 2 号 p. 616-619

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抄録
分子量500から65,000までの物質の蓄積するような疾患の治療のために, 従来のフィルターよりもcut-off pointの高い3種類のフィルターを用いて血液濾過(HF)を行った。慢性腎不全(CRF)10例, 急性肝不全2例, 高ビリルビン血症1例, 悪性腫瘍2例, パラコート中毒1例を対象とした。CRFにはEVAL C-2(アルブミン阻止率83.8%)を用いたHDFを行い, 肝不全と悪性腫瘍例にはEVAL 1A(同じく66.5%)によるHFを行った。高ビリルビン血症, パラコート中毒には, EVAL 2A(同じく41.7%)を用いたHFを行った。CRFでは, 貧血, 掻痒症, 骨痛などの症状の改善がみられた。肝不全では昏睡の改善, 高ビリルビン血症ではビリルビン値の低下と症状の著しい改善が得られた。悪性腫瘍例では悪液質の改善と骨転移の痙痛の軽減が認められた。分子量500から65,000の物質の異常をきたす疾患には, 適性なcut-off pointのフィルターを用いて時間をかけたHFが最も有効な除去手段である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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