抄録
切除不能肝癌に対する効果増強を目的として5FU-PLA-mcを開発し, 動物実験にて薬剤動態, 抗腫瘍性につき検討した。V×2移植家兎に対して:1群, 5FU-PLA-mc 75mgで大腿動脈塞栓術を施行;2群, 5FU-PLA-mc30mg;3群, 5FUを含まないマイクロカプセル;4群, 5FU30mg注射液を動注;5群, 大腿動脈を結紮切離(コントロール)した。V×2移植後28日目のT/Cは各々1群0.01%, 2群24.6%, 3群72.3%, 4群22.2%であり, 1群でのみ著明な腫瘍縮小を認めた。また, 5FU-PLA-mc動脈塞栓術後の腫瘍内5FU濃度は3日間にわたり有効濃度が持続した。一方, 血中5FU濃度は低値であつた。5FU-PLA-mcは40%の5FUを含み, 大きさは直径約200μmである。細動脈での塞栓が可能であり, いずれは加水分解され体内より消失する。以上より, 本剤は経カテーテル動脈塞栓術の塞栓物質として有用であると思われる。