人工臓器
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徐放性制癌製剤の研究
酒徳 光明平野 誠山下 良平山田 哲司川浦 幸光岩 喬近藤 保荒川 正幸
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1985 年 14 巻 2 号 p. 814-817

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抄録
切除不能肝癌に対する効果増強を目的として5FU-PLA-mcを開発し, 動物実験にて薬剤動態, 抗腫瘍性につき検討した。V×2移植家兎に対して:1群, 5FU-PLA-mc 75mgで大腿動脈塞栓術を施行;2群, 5FU-PLA-mc30mg;3群, 5FUを含まないマイクロカプセル;4群, 5FU30mg注射液を動注;5群, 大腿動脈を結紮切離(コントロール)した。V×2移植後28日目のT/Cは各々1群0.01%, 2群24.6%, 3群72.3%, 4群22.2%であり, 1群でのみ著明な腫瘍縮小を認めた。また, 5FU-PLA-mc動脈塞栓術後の腫瘍内5FU濃度は3日間にわたり有効濃度が持続した。一方, 血中5FU濃度は低値であつた。5FU-PLA-mcは40%の5FUを含み, 大きさは直径約200μmである。細動脈での塞栓が可能であり, いずれは加水分解され体内より消失する。以上より, 本剤は経カテーテル動脈塞栓術の塞栓物質として有用であると思われる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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