抄録
生体分解性高分子のポリL乳酸と5-Fuを複合し, 5-Fu・ポリ乳酸複合体針(F-PLA針)を新たに開発した。F-PLA針の含有5-Fu濃度は重量比で50%であり, in vivo において約1カ月間の徐放期間を示した。F-PLA針3本(5-Fuにして総量30mg)のをラット肝組織内へ埋め込んだ後の肝組織内5-Fu濃度は, 長期間高値を持続し, 投与後10日目においても0.5μg/gの濃度を維持していた。一方, この間の血清内5-Fu濃度は極めて低値であった。この結果より, F-PLA針の局所への長時間の選択的効果が示唆され, このことは更に組織学検討でも確認された。またAH130腹水肝癌移植ラットに対する抗腫瘍実験では, F-PLA針刺入群で著明な腫瘍の増殖抑制, 更に退縮が認められた。
以上より, F-PLA針は, 局所化学療法における徐放性抗癌製剤の1つとして, 十分にその有効牲を期待しうるものと考えられた。