2017 年 32 巻 2 号 p. 185-191
肝細胞癌由来の転移性膵癌の1例を経験したので報告する.症例は47歳,男性.上腹部痛を主訴に近医を受診.CT施行され膵腫瘍と多発肝腫瘍を指摘された.血液生化学検査では,AFP 175020.7ng/ml,PIVKA-II 39374mAU/mlといずれも上昇していた.MRIでは膵尾部にT1でlow intensity,T2ではhigh intensityの5cm大の腫瘤がみられ,膵癌多発肝細胞転移と診断した.病理診断のため肝生検施行し肝腫瘍は肝細胞癌と診断され,膵癌との重複癌を疑い腹腔鏡下膵生検を施行した.膵腫瘍は肝細胞癌膵転移と診断された.転移性膵腫瘍は稀な疾患で,原発巣としては胃癌,肺癌が多い.今回肝細胞癌膵転移という極めて稀な症例を経験したので,文献考察を加え報告する.