抄録
親水性のセグメント化ポリウレタンと強力な抗トロンビン剤MD-805を組み合わせた医用弾性体を開発し, その医療器具への応用を検討する為にex-vivoでの基礎評価を肉眼的及び電顕的におこなった. その結果, MD-805を徐放するこのシステムでは, 電顕的にfibrin netやthrombusを認めず, 付着した血小板の数, 形態も対照としたMD-805を含まない親水性セグメント化ポリウレタン及び疎水性セグメント化ポリウレタンに比し優れ, 本システムが抗血栓性を獲得する有効な手段の一つである事が示された. しかし, 本システムに於いても頻回のコーティングにより材料表面がroughな場合には血小板の凝集した像も所々に見られ, 医療器具に応用する場合, fabricationの重要性を示した。