人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
Complianced Suture Materialの評価
宮脇 富士夫松本 博志井手 博文古田 直樹浅野 献一
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 15 巻 1 号 p. 360-363

詳細
抄録

冠動脈バイパス手術など小口径動脈の縫合に有用と考えられる弾性糸を開発し, その力学的特性と経時的な光顕所見を検討した。応力・ひずみ曲線では, 他の非弾性糸と全く異表なるパターンを示し, このパターンは生体の動脈壁と同一のものであった。緩和試験では, ポリプロピレン糸と比較してはるかに緩和が少なく, 40gの繰り返し負荷試験でも殆んど伸びの変形を呈さなかったことから, 張力負荷に対する経時的耐久性に優れ, 吻合部の血圧変化にも充分追従でき, しかも変形の無いことが予想された。光顕所見では, 異物反応は2週間後および2ケ月後もともに殆んど認あられなかった。糸の周囲の線維化は, 2週間後では殆んど認められず, 2ケ月後でわずかに認められたが, ポリプロピレン糸よりも少なかった。以上の結果からも小口径動脈の縫合糸としてこの弾性糸は最適と考えられた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top