1986 年 15 巻 2 号 p. 617-620
速度勾配が加えられている時間を変化させたときの溶血をin vitroにおいて調べた. コーン・カップ(アクリル樹脂製)型試験機を用いて, イヌの全血液に0~1500s-1の一様な速度勾配を24℃において0~120分間加えた(速度勾配が一定の場合と正弦波状に周期的に増減する場合の2通り). 溶血の程度については, 溶血率(遊離ヘモグロビン濃度/全ヘモグロビン濃度)を算出して比較した. 実験の結果, 速度勾配が「一定」の場合, 「正弦波状に上下する」場合ともに, 速度勾配が加えられている時間が長くなるとともに溶血率が大きくなること, 0s-1と500s-1との間を周期10sで正弦波状に増減する場合よりも500s-1一定の速度勾配を加え続けた場合の方が溶血率が大きくなることがわかった. 以上より, 速度勾配が加えられている時間を短縮することによって溶血が抑えられることが示された.