人工臓器
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補体活性化作用を持たない再生セルロース膜の開発
秋沢 忠男北岡 建樹越川 昭三渡辺 哲夫今村 和夫鶴見 隆須磨 靖徳栄花 正吉
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1987 年 16 巻 2 号 p. 822-825

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抄録
再生セルロース(C)膜の補体活性化を防止する目的で, C膜表面の補体活性基をポリマーでマスクした新セルロース(NC)膜を開発した。NC膜の表面性状はC膜に比し疎水性, 陽荷電に変化した。NC膜のin vitroにおける補体活性化作用はC膜に比し著減し, ほぼPMMA膜に匹敵する成績を示した。NC膜の補体活性化作用は膜表面性状が疎水性, 陽荷電になるに従い低下した。臨床試験ではNC膜で血液透析中の白血球・血小板数の減少はほとんどみられず, 活性化補体C3aはわずかに上昇したものの, C5aは全く増加しなかつた。NC膜は高圧蒸気滅菌に耐え, 透析性能にもNC膜, C膜間に差はみられなかつた。以上の成績から, 今回の膜改質によりC膜の長所を生かしたまま, C膜の補体活性化作用は防止された。NC膜の今後の幅広い臨床応用が期待される。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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