抄録
輸液用留置カテーテル先端の血栓形成に続発するカテーテル閉塞や敗血症を防止する目的で、優れた抗血栓材料、polyhydroxyethylmethacrylate-polystyrene block copolymer (HS polymer)をcoatingした抗血栓性中心静脈内留置カテーテルを考案し、カテーテルによる種々の合併症の予防効果の検討とともに、HS polymerを初めて臨床に応用し、その抗血栓性を臨床的にも評価した。その結果、HS polymerをcoatingすることによりカテーテルの抗血栓性は動物実験とともに臨床的にも非常に優れたものになることが証明された。カテーテルの合併症防止効果は、今回の検討では既存のカテーテルに比し有意差は認められなかったが、その著しい抗血栓性により、今後更に症例を重ねることで、血栓形成から生じる種々のカテーテル合併症の予防を示唆できるであろう。