手根幹症候群の原因物質として長期透析患者にて注目されているβ2-microglobulinの血中濃度変化を推算すべく、3プールモデル解析を試みた。その際、ダイアライザーでの除去速度を正確に求めるため、臨床検査に用いた後の透析患者廃棄血漿を集め、血清処理後1プールin vitro実験を行った。ダイアライザーに旭メディカルのAM-Neo-1000-HPを用いたところ、膜のふるい係数は0.30であった。この値から計算したクリアランスを用いて血中濃度変化をトレースすべくモデルのパラメータを求めた。細胞膜クリアランスはβ2-microglobulinの分子量より予想される値よりもはるかに大きかった。また、毛細血管クリアランスはダイアライザーでの除去速度よりも大きく、文献値と一致した。透析終了直後の急激なリパウンド現象はこのモデルでおおよそ説明できる。見掛けの溶質生成速度は一般に言われている値よりも小さく、100mg/day以下であった。