人工臓器
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新しい創傷治癒促進材料“G. T. XIII”―実験潰瘍による治療効果―
佐藤 ゑみ木戸 友幸杉立 彰夫
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1989 年 18 巻 1 号 p. 105-108

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抄録
我々の開発した新しい創傷治癒促進材料G. T. XIIIは組織吸収性ゼラチン(G)を担体として, トロンビン(T)とFactor XIII(XIII)を凍結乾燥法により固定化, 作製したものである。今回, 酢酸によるラット潰瘍モデルを作製し, 本材料を局注し治療を試みた。潰蕩作製3日後直視下にG. T. XIIIゾルを注入, 切開創は縫合閉鎖した(治療群)。対照群は潰瘍作製後, 無処置のものとした。治療後3, 14, 21, 28日目に各々潰瘍部分を肉眼的に観察, 治療効果の判定を行い, 組織学的検討を行った。
治療群のラットは全例潰瘍が消失し, 組織学的には一旦生じたU1-Wでも3日目には肉芽組織で修復され, 穿孔が防止された。そして21日目には再生上皮で覆われていた。一方対照群は14例中5例が潰瘍穿孔により死亡, 生存例も治療群に比べ, 肉芽組織の増生は遅れていた。G. T. XIIIの局注は潰瘍部分において早期から肉芽組織の増生に寄与し, 有力な潰瘍治療法の1つとして大いに期待されることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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